米誌で注目の名古屋
今年3月、米タイム誌が発表した「世界の最も素晴らしい場所」50選で、イタリアのナポリ、オーストリアのウィーン、スペインのバルセロナなどの観光都市と共に日本で選ばれたのが京都と名古屋。サンデー毎日8月13日号は「名古屋が大化けした!」と題し名古屋が選ばれた訳を考察している。
一つは昨年開園した「ジブリパーク」の存在。スタジオジブリ作品の世界を表現した公園で「ジブリワールドにたっぷり浸れるこのテーマパークは世界的に注目されています」と旅行ジャーナリストの村田和子氏も評価する観光スポット。昨秋、名古屋市のPRポスターで「尾張名古屋は城とジブリで持つ」と宣伝したが、すぐタイム誌が反応したと説明。
他に「世界に誇るジャパニーズウイスキー『サントリー知多蒸溜(じょうりゅう)所』」や「THE TOWER HOTEL NAGOYA」、近隣の犬山市にオープンした「ホテルインディゴ犬山有楽苑(うらくえん)」の二つの宿泊施設を挙げている。前者は名古屋テレビ塔内にあるホテルで国の重要文化財に指定され、部屋は全室異なるデザイン、現代アートと地域の伝統工芸を生かした意匠である。「ホテルの部屋に塔の鉄筋などが通る造りも、斬新で個性的だ」。後者も伝統を生かす。ホテル名にもある「有楽苑」は、隣接する日本庭園のことで「その苑内にある茶室『如庵』は(中略)国宝にも指定されている」。
先出の村田氏によればタイム誌が取り上げた以外にも「トヨタや陶磁器のノリタケなど、名古屋は製造業の中核をなすモノづくりの会社」が観光地の条件を満たしている。また「名古屋はかつて歴史の要所だったことから『徳川美術館』や『徳川園』などもある」。「今の観光トレンドは、いわゆる有名な街ではなく、自分だけのお気に入りの穴場に行くこと。またその土地の歴史や背景をじっくり味わえるのも重視されています」。名古屋はそういった「時代性にも合っている」と。
なるほどと思う。ただ、記事全体のリード文は「魅力のない街と言われ続けてきた名古屋が今、じつは観光地として世界的に注目されている。海外からの逆輸入の評価に、改めて名古屋を見直すと、なんだか確かに面白そうだ。魅力的なホテルから旅育まで。酷暑の夏の観光旅行に、いかがだろうか」とある。海外のマスコミに指摘されてからでないと、自国の美質に気付かない、あるいは観光地をタイムリーに評価できないようでは、チト恥ずかしくないか。記事内容も味気ない。