市場との対話求める
読売は消費の落ち込みについて、物価高に企業の賃上げが追いついていないため「消費者の節約志向が強まったとみられている」と指摘。実質賃金の伸びマイナスが続く状況も、大手企業で実現した高水準の賃上げが「中小企業を含む全体にはまだ波及していない」からとする。
すべての労働者の賃金のベースとなる最低賃金は、23年度の引き上げ幅の目安が過去最高となり、全国平均で初めて1000円台に達する見通しとなったが、読売は日経同様、「来年以降も高い賃上げを継続し、幅広く浸透させていくことが不可欠だ」と強調。政府に対して、中小企業も賃上げをしやすいよう税制や補助金などによる支援策のさらなる拡充を求めた。日経より具体的な提言である。
内需のもう一つの柱、設備投資は前期比0・03%増と微増というかほぼ横ばい。前期は同1・8%増から減速した。
読売は「脱炭素や、人手不足に対応する省力化などへの投資が重要なはずだが、伸び悩んでいる」として、企業経営者に対し、賃金や設備投資に積極的に資金を投じることが内需主導の景気回復に欠かせないことを認識する必要があると説くが、やや当たり前過ぎようか。
これに対し日経は、最新の日本政策投資銀行の調査で、大企業の23年度の国内設備投資計画が前年度比21%増と、計画値としては1980年代以降で3番目に高い伸びになったことを挙げ、「企業が強気の投資計画を着実に実行に移すには、安定した経済や市場環境の維持が欠かせない」と指摘。日銀に市場安定へ市場との綿密な対話や情報発信に一層努めてほしい、とした。この点では、日経の方が読売より説得力があった。
4~6月期には評価
もちろん、両紙とも4~6月期の高成長を評価していないわけではない。日経は「日本経済は回復の歩みを続けている」とし、GDPの水準が年換算で560兆円とコロナ禍を上回ったと評価。読売も「コロナ禍からの持ち直しが着実に進んだことを示したと言える」とした。
だからこそ、日本経済の自律的拡大へ、内需主導の牽引(けんいん)力が必要なのである、そう思わせる両社説だった。(床井明男)







