トップオピニオンメディアウォッチ高成長も内需の弱さ懸念し賃上げ・投資の着実な実行訴えた日経、読売

高成長も内需の弱さ懸念し賃上げ・投資の着実な実行訴えた日経、読売

成長内容の悪さ懸念

外需の一時的な押し上げに支えられ、個人消費や設備投資は力強さに欠けた。内需に弱さが残る現実を直視し、賃上げ継続や投資の着実な実行へ官民で策を練るべきだ――。

平均で実質年率換算3・0%という民間シンクタンクなどの事前予測の2倍6・0%増と高い成長率を示した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値に対して日経が示した社説の論評である。

同GDPの論評を掲載した読売社説も「高い成長率とはいえ、物価高の中で個人消費に勢いがなく、楽観できない。内需主導の景気回復に向け、政府は賃上げが消費増につながる好循環の実現に注力せねばならない」と日経と同様、総じて厳しい指摘が並ぶ。

16日付で社説を掲載した日経、読売の両紙が懸念するのは成長の内容の悪さ、すなわち内需の弱さである。

内需の柱である個人消費が、前期比0・5%減と3期ぶりのマイナス成長に転落。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことによるサービス消費の回復があったにもかかわらず、である。長引く物価高がボクシングのボディーブローのようにじわりと、しかも確実に効いてきた感じである。

それが、数字では今回最もGDPを押し上げた輸入の減少であり、日経は「輸入の数量減は内需の弱さを映す面もある」と指摘する。実質賃金は15カ月連続で前年同月比マイナス。「所得が物価ほどには伸びず、実質でみた所得が目減りしていることが大きい」と同紙。

同紙は積極的な賃上げが24年以降も続くかは予断を許さないとして、「構造的な賃上げの機運を絶やさぬよう、官民は一致して取り組むべきだ」と強調した。同感である。

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