迫り来る「台湾有事」の全シナリオを分析し対応策を探る東洋経済

邦人社員守る対策を

ところで今回の特集で気になるところは中国で事業を展開する日系企業の対応である。「台湾有事に備え台湾駐在員の退避計画を作成した企業はあっても、中国駐在員のそれを用意している企業はまずない」(同誌)ということである。その理由としては、「退避計画を作成していることが中国人社員に知られた瞬間に組織が回らなくなるし、中国当局からのバッシングも必至だ」という中国ビジネスに詳しい商社関係者の声を挙げる。さらに、「多くの企業ではいったん検討してもすぐ『現実的には無理』という結論に至る。せいぜい『駐在員に1年間有効なオープン航空券を渡しておく』という程度」(同)という。

これまでも台湾有事が叫ばれていても中国がある程度、西側諸国と協調姿勢を見せているうちは、日本企業の対応もこれまで通りで過ごすことができたとしても、今後、台湾有事が現実味を帯びれば帯びるほど中国ビジネスに関わる企業は、日本人従業員の安全を守る具体的な対策を準備しておく必要があるだろう。

離島での住民保護も

また、琉球大学の山本章子准教授が指摘するように、台湾有事となれば「台湾からの難民受け入れや支援、沖縄を始めとした離島での住民保護も十分に想定しておく必要がある」というのはまさに至言であろう。まさに台湾有事は時間の問題。それが現実化されれば日本経済が受ける打撃も計り知れない。それだけに中国の動向を緊迫感を持って見詰める必要がある。

(湯朝 肇)

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