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短観結果を露骨なリベラル的思考で曲解し日銀を批判する東京社説

事実を述べず誤認も

しかも、短観の中身について事実関係が正しくなく、見方にリベラル的な色眼鏡で角度が付いて、結論が見出しのように誘導されたものになっているのである。

例えば、「円安の恩恵で大企業ばかりが潤う構図」の一文。

「潤う」を、短観の言う業況判断指数DI(業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた数値)がプラスで改善している企業、つまり、「良い」とする企業の方が多く、日増しに増加している企業とすると、大企業の製造業・非製造業ばかりでなく、中小企業の非製造業も当てはまる。

もう一つ、「円安傾向が改まる気配はなく、輸入価格上昇に伴う物価高は来年以降も確実に続くだろう」の文では、足元こそ、円相場が再び1㌦=140円を割り込み、5日現在では144円台になっているが、それまでは輸入原材料価格の高騰は国際的な資源価格の低下などを受け一服しており、仕入れ価格判断DIは下落しているのであって、東京が言うような「輸入価格上昇に伴う物価高」ではないのである。

東京の指摘は、前者では不都合な事実を述べず、後者は勉強不足による思い込みからか事実誤認である。

さらに、社説の最後の方では、「今回の日銀短観は、一部の大企業だけが潤う日本経済のいびつな構造を映し出している」と述べる。事実誤認もさることながら、仮にそうだとしても、それが「いびつな構造」と言えるのか。

生産→消費→企業収益の向上→賃上げ・設備投資増といった経済の好循環を実現し2桁の経済成長を遂げた高度成長期ならいざ知らず、低成長の時代にあって全ての企業が潤うということは現実的でないだろう。一部の企業が経営努力によって潤うという姿の方が自然な姿である。いびつでも何でもない。

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