4分の1はドローン
イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコのアラブ3カ国との国交正常化をうたった2020年の「アブラハム合意」後、イスラエルのアラブ諸国への武器輸出が、急増、和平合意がイスラエル経済にも恩恵をもたらしている。
英ロンドンを拠点とする中東専門ニュースサイト、ミドルイースト・アイ(MEE)によると、昨年のイスラエル武器輸出のうちこの3カ国が4分の1を占めた。しかも、イスラエルの昨年の武器輸出額は過去最多の125億㌦だった。
和平合意によって、政治ばかりでなく両者の経済的、軍事的関係も急速に強まっている。
イスラエルは昨年バーレーンに海軍将校を派遣、中東専門ニュースサイト「タクティカル・リポート」は昨年10月、UAEにイスラエル製の迎撃システム「バラク」が配備されていると衛星画像付きで報じた。
また、モロッコからの報道によると、イスラエルの軍事用エレクトロニクス機器メーカー、エルビット・システムズが、モロッコ国内2カ所に拠点を設ける予定だという。モロッコの英語紙モロッコ・ワールド・ニュースによると、エルビットは、モロッコ進出を「アフリカ市場参入へのてこ」とすることを目指しているという。
それに先立ってイスラエルは、モロッコとモーリタニアの間の係争地「西サハラ」へのモロッコの主権を認めることを検討していると報じられたばかり。政治と軍事のバーターということのようだ。
イスラエル国防省によると、昨年のイスラエルの武器輸出額は3年前の50%増、10年で倍増というからかなりの勢いで増えている。英ニュースサイト、ニュー・アラブによると、アラブ3カ国への輸出のうち4分の1はドローン(無人機)、19%は「ミサイル、ロケット、防空システム」。無人機は各地の紛争でその実力は確認済み。しかも安価だ。イスラエル軍需産業にとって、ドローンと迎撃ミサイルはいわばお家芸だ。イスラエル独自開発の主力戦車メルカバの旧型を輸出する予定もあるという。