
各紙扱いに顕著な差
「同性婚」を認めない民法と戸籍法の規定は憲法に違反するかどうかが問われた裁判で、名古屋地裁が「違憲」の判断を下した。全国5地裁で起こされた同種の裁判で、違憲とされたのは2年前の札幌地裁に続くものだ。
この判決についての新聞報道(先月31日付)は、保守と左派とで扱いが大きく分かれた。「読売」「日経」は第1社会面、「産経」は第2社会面のトップだった。「世界日報」は政治記事が多い「総合面」(2面)で、事実関係だけ2段見出しで、最も抑えた掲載となった。一方、「朝日」「毎日」「東京」は1面トップで事実関係を扱い、社会面でも当事者の喜びの声を伝えるという形で大々的に扱った。
新聞報道において、保守と左派で扱いが大きく異なるテーマは多々ある。いくら「中立公正」を謳(うた)おうとも、各社がよって立つ価値観を反映させた紙面作りをするのは当然のこと。新聞を読み比べる意義もそこにある。
同性婚の是非は、各社の価値判断が分かれる代表例である。推進派の左派は違憲判決を評価するという意味で、1面トップ扱いし、同性婚に反対する度合いの強さによって扱いは小さくなったが、これは左派イデオロギーと保守の価値観の反映である。
産経は「男女否定は理解しがたい」、世界日報も「解釈に矛盾ある判決だ」と、それぞれ6月2日付で社説を掲げ、同性婚に反対する立場から判決を批判。対照的に、毎日は「国は法制化に動くべきだ」(31日付)、また東京も「法整備は待ったなしだ」(6月1日付)と意見表明した。ニュース扱いの大きさと社説を見れば、同性婚についての各社の立場は鮮明である。