1カ月に6本の社説
統一地方選挙の前半戦も終わり、国会はいわゆる後半国会に入ったが、その国会審議を読売が叱責している。「人口減少など日本が直面している課題や、目まぐるしく動く国際情勢について、実りある審議が行われているとは言えない」と(3日付社説)。
実りのない国会審議を招いたのは、放送法を巡る「総務省文書」の空騒ぎである。立憲民主党の小西洋之参院議員が「文書」を基に安倍晋三政権が政治圧力で放送法の「政治的公平」の解釈を変えたと決めつけ、当時、総務相だった高市早苗氏(経済安全保障担当相)の首を飛ばそうと執拗(しつよう)に追及した。大臣を辞任させれば野党の大金星。そんな旧態依然とした立憲民主党の国会対応である。
これを読売は「放送局の政治的公平性をどう確保するか、といった本質的な議論が脇に置かれ、文書の記載が正確か、不正確かで堂々巡りの議論が行われたことに辟易する」と述べている。読売は国会議論だけでなく、小西氏の尻馬に乗った朝日にも辟易(へきえき)しているに違いない。
これを取り上げた朝日社説は約1カ月間に実に6本にも上ったからだ。毎日は3本、東京は2本。これに対して読売、産経、日経は1本のみ。左派紙の中でも朝日が突出している。矛先を安倍政権に向け、高市氏に集中砲火を浴びせている。もはや尻馬でなく、自ら手綱を握り保守つぶしのイデオロギー的使命感をたぎらせている風である。