他紙はデジタル注目
来春から使われる小学校教科書の検定結果を文部科学省が公表した。今回の特徴は、児童生徒に1人1台の情報端末の配備がほぼ完了したことを受け、全11教科の教科書にQRコードが掲載されたことだ(本紙3月29日付)。それが「デジタル時代の教科書」というわけだが、それによって「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)は進むか、疑問もある。
読売社説は「デジタルは、動画や音声を視聴するうちに、子どもが分かった気になってしまい、考える力が身につかない恐れがある」と懸念を示し、「考える力を養う工夫が必要だ」とする(30日付社説)。毎日も「『考える力』伸ばす活用を」と注文を付けた(29日付)。大人だって視聴するうちに分かった気になっているのだから、もっともな指摘だ。
だが、朝日にとって「デジタル時代の教科書」の在り方はどうでもよかった。それよりも「3回目の検定となる道徳では、今回も『国や郷土を愛する態度』をめぐり、息苦しさを感じさせる意見が相次いだ」とし、「窮屈な検定姿勢改めよ」と拳を挙げている(30日付社説)。
朝日は、検定では「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」の要素が足りないとする指摘が13件あり、多くの教科書は、郷土愛にまつわる部分に「国」や「日本」という言葉を追加するなどして合格したとし、これを「息苦しい」「窮屈だ」と言い立てている。「国」や「日本」と聞くだけで息苦しくなるとは、お気の毒なことだ。なるほど朝日は反「国」、反「日本」と改めて思い知らされる。