NHKの思惑外れ「どうする家康」時流に乗りLGBT登場

大河ドラマ「どうする家康」(NHK)公式サイト
大河ドラマ「どうする家康」(NHK)公式サイト

側室をレズビアンに

この欄では、主に時事番組を取り上げている。だが、今回俎上(そじょう)に載せるのは時代劇だ。NHK大河ドラマ「どうする家康」が時流に乗って、唐突にも登場人物にLGBT(性的少数者)を入れ込んだからだ。

家康の側室をレズビアン(女性同性愛者)という設定にしたのは第10話「側室をどうする!」(3月12日放送)だった。ちょうどこの日は裏番組でWBC日本対オーストラリア戦が中継された。そちらを見た視聴者が多かったろうから、まずはあらすじを紹介しよう。

松平家を盤石(ばんじゃく)なものにするため、家康の母於大と正室瀬名は子供を多く産める側室探しを行う。そこで白羽の矢が立ったのは城で下働きをするお葉。無口だが、鉈(なた)でイノシシをさばく勇ましくも気の利く女だ。「不気味だ」と家康は気が進まなかったが、於大と瀬名に押し切られる。

10カ月後、お葉はめでたく女の赤子を産む。そこまではコメディー過ぎるきらいはあったが、まずまずの流れ。しかしある日、お葉が好きな相手ができたので「側室の務めを終わりにしていただきたい」と言いだした。激怒した家康は相手を連れてこいと命じる。

ところが、現れたのは城勤めの女だった。「昔から殿方が苦手」で、家康に触れられると吐きそうだったと打ち明けるお葉。「お手討ちに」と覚悟を示すが、言葉を失った家康は「すべてわしの胸に収める」と言い、お葉の好きにさせることにする――。

お葉がカミングアウトする場面は10話のハイライトだった。いつの時代でもLGBT当事者は存在するから、家康の側室にレズビアンがいても不自然ではないという考え方もあるだろう。時代劇で侍の衆道(男色)が描かれることもある。しかし、この脚本の場合、登場人物をレズビアンに設定する必然性がまったくない。いくら創作とはいえ、荒唐無稽過ぎるのである。

だから、SNSでも物議を醸す。「お葉格好良かった」と評価する声がある一方、「そういうのは別でやってほしい」「子供も見ている8時台では如何(いかが)なものか」と否定的な意見が目立った。

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