停戦破りの可能性も
民主世界のほとんどはウクライナを支援している。被害者としてのウクライナの反攻を当然のこととし、失われた領土回復の正義はウクライナにあると思っている。その中で、もし停戦が実現したとして、そこで民主世界はホッと一息つき、ウクライナは停戦を維持し再建に就くだろうと漠然と考える。
ところが2人の見方は違う。「もしウクライナが軍事的に優位な状況で停戦したが、領土的に野心がまだ残っているような状態だった場合、ウクライナから停戦破りに行ってしまう可能性は排除できない」と小泉氏は予測する。
河東氏も、そもそも停戦云々(うんぬん)の前に、ウクライナに「能力と意思がある以上は戦闘が続くと考えるべき」と言っており、この辺のリアリズムがいい。ウクライナが停戦を破ってしまい、民主世界が面目を失ったとしても戦うのだという彼らの民族性に対する深い洞察だ。