地元紙は判決に不平
この日は日韓首脳会談とWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準々決勝があり、翌17日付各紙はこれに紙面を割いた。朝日はこれ幸いとばかりに県敗訴を社会総合面で2段見出しの小さな扱いでお茶を濁した。不承認の際には大騒ぎしただけに、まるで「不都合な真実」は知らしむべからず、である。
せめて朝日は毎日のように「辺野古阻止 さらに厳しく」(2面「視点」)と県敗訴の意味ぐらいは解説すべきではないか。読売は判決を社会面の短報欄、産経は短報でも扱わず歯牙にもかけなかったが、これは判決を当然視するからか。
地元紙は判決への不平たらたらだった。県の裁判闘争が破綻したのに沖縄タイムス17日付社説は「県敗訴 破綻した国方針を追認」と話をあべこべにしている。琉球新報18日付社説「司法の中立性が問われる」は法に対する見識を疑わせた。司法は字義通りに法を司り、法に基づいて判断する。「対立するどちらの側にも味方しない」といった中立性を司法に求めれば、それこそ無法地帯だ。白を黒と言いくるめるような支離滅裂な判決批判というほかない。
県の姿勢はこれまで何度も裁かれてきた。2015年には埋め立て承認を取り消したが、国は代執行訴訟を起こし16年12月に最高裁は知事の承認取り消しを違法と断じ、工事が再開された。ところが18年8月、翁長雄志知事(当時)の死去に伴う県知事選を控えて県は再び埋め立て承認を撤回する政治的パフォーマンスを演じた。