
第三者委設置に反対
2020年秋の菅義偉首相(当時)による日本学術会議会員の任命拒否問題から約2年半。今年10月に会員の半数が改選を迎えようとしている中、政府は今国会で、会員選考に際して第三者委員会を設置することなどを柱とする日本学術会議法改正案の提出を目指している。これに対し、学術会議側は「独立性を侵害する」と真っ向から反対している。
主要各紙は朝日、東京が社説でアカデミズムの独立性を旗印に法改正に反対し、読売が学術会議の意固地な姿勢をいさめる社論を張った。
朝日は先月15日付社説「学術会議のゆくえ 独立歪める改革は国の損失」で、「各国の学術会議に相当する組織は、政府から独立した活動や会員選考の自主性・独立性を備える。それを歪(ゆが)め、強引に政府の意向に従わせるのでは、権威主義国家のやり方と見まごうばかりだ」と、あたかもわが国がアカデミズムさえも独裁体制下に組み込んでいる中露や北朝鮮と同様の政治システムに堕していくかのような印象を与えている。
東京の2日付社説「学術会議と政府 知性の声に耳傾けねば」も「学術会議は過去に軍事研究に批判的な見解を示しているが、政府が『政治の力』でそれを否定すれば、学術の世界からの助言はまるで意味をなさなくなる。政府への批判を封じる意図なら独裁国家と同じ発想ではないか」と朝日と同様の頭脳構造だ。