核融合開発で10ページ大特集のNW日本版、米中のつばぜり合いか

中国は28年実用目標

その中国の状況について「究極のエネルギー開発に中国が示す本気度」の見出し。「2028年までに核融合発電を目指す施設の建設計画が昨年政府に承認され」「実現すれば、この施設は5000アンペアの電力を生成する。いま世界最大の核融合炉はアメリカのサンディア国立研究所(ニューメキシコ州)が運営するZパルスパワー施設(注・先のNIFとは違った方式)だが、中国が計画しているものはその約2倍の能力を持つことになる」という。

昨年この計画を発表したのは「中国を代表する核兵器開発の専門家で、中国工程物理研究院教授の彭先覚」。同教授は「今日の世界で、核融合は科学技術の最高の宝だ」と開発に意欲満々の体。「25年に四川省成都に建設される予定」「35年までに商業利用を実現させる」という。記事では目標達成の時期について懐疑的。「発表された施設を造るには極めて高性能のキャパシター(蓄電器)数基」などが必要で、「35年に商業化という中国の目標は、かなり楽観的」と。米国は1世紀ほどの基礎研究の実績を持つが、中国の歴史はかなり浅い。

確かにこれまで中国の兵器技術の開発は、米国のコピーが多いのが実際だったろう。だが核融合についても同様の見方でいいのか。先の彭先覚教授の発言を思うとやはり不気味な存在で、一気呵成(かせい)の開発ということもあるのではないか。油断できない。

一方、米国は今、核融合開発のトップランナー。米国は戦後の民主党政権時に原子力発電の開発に消極的な時があったが、原子力エネルギーの基礎研究はずっと続けてきた、その成果が出ている。日本はこの間、頓挫した。日本は一度駄目だとなると、基礎も応用も全部やめてしまう。米国との違いだ。「アメリカの研究費の行き先を70年代からさかのぼると、ほとんどが高エネルギー物理学に充てられている。物理学者にとってそれだけ魅力的な分野だということだ」。開発は米中のつばぜり合いになるか。

再生エネとの連帯を

特集記事は、核融合の開発目標を「気候変動の緩和のための技術」として捉え、フォーリン・ポリシー誌経済コラムニストのアダム・トゥーズへのインタビュー内容を取り出し、「原子力もしくは核融合エネルギーがその問題に対する即効性と実現性のある答えであるかと聞かれれば、論拠を挙げてイエスと言うことは難しいだろう。/われわれは、再生可能エネルギーの技術を思ったよりも早く手に入れることができて本当にラッキーだった」と締めくくっている。

まずは妥当な結論だが、宇宙のありようや現代物理学では、核融合は人類の科学技術の頂点とみられる。開発競争は一段と激しくなることが分かる内容だ。

(片上晴彦)

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