戦略失うプーチン氏
NHKは23日午後に「映像の世紀 スターリンとプーチン」を再放送、続いて「プーチン 知られざるガス戦略~徹底検証20年の攻防~」(BS1で昨年12月25日放送)を再放送した。これだけプーチン氏に焦点を当てるのは、ウクライナ侵攻が「プーチンの戦争」と言えるからだろう。
「ガス戦略」はロシアの豊富な天然ガスによって欧州をロシア産ガス依存症にしようとするプーチン氏の戦略を追跡したものだ。ウクライナを経由しない海底ガスパイプライン、ノルドストリーム1の狙いについて、計画当初からウクライナ側は「ロシアの脅威」を感じていたが、ドイツは術策にはまり、ノルドストリーム2も計画した。
旧ソ連時代からガスは欧州に供給されていたが、番組は旧ソ連共産党のブレジネフ書記長と西ドイツ時代に「東方外交」を進めたブラント首相(社民党)との関係、そしてプーチン氏と1998~2005年当時のシュレーダー首相 (社民党)との蜜月関係を指摘し、ドイツがガス戦略にはまった経緯を捉えていた。
だが、この経緯を踏まえると、当初はヘルメットしか援助しなかったドイツで、しかも社民党のショルツ首相が、ウクライナを侵略したロシアに対し「バカにするな」とノルドストリーム2の計画中止を宣言、1月には攻撃型戦車レオパルト2の供与に踏み切ったことが、いかに大転換か理解できる。プーチン氏はスターリンのように「強いロシア」に心酔するあまり盲目的になり、自らの戦略を破綻させたのだ。
(窪田伸雄)