除名正当化繰り返す
日本共産党の党首公選を主張する『シン・日本共産党宣言』を出版した松竹伸幸氏の除名問題で、先週本欄で「共産党『民主集中制』の背景に踏み込めない朝日・毎日、見物する他紙」と論評した。その後、朝日が「背景」に踏み込み、産経が社説で取り上げたので改めて見ておこう。
朝日の国際社説担当の村上太輝夫氏は16日付オピニオン面のコラム「序破急」で「『民主集中制』という呪縛」と題してこう論じた。「ロシア革命を導いたレーニンを起源とする民主集中制は、社会主義革命を掲げる各国の政党が採用した組織原則だ。『民主的に議論し、決定したら統一的に行動すること』を指す。それなら、公選で指導者を民主的に選び、当選者を統一的に支持すればいいはずだ」
共産党の規約を逆手に取った「異論封じ」批判である。社説では曖昧だった民主集中制について村上氏は「レーニンを起源」と明言し、「民主集中制を党規約ばかりか憲法にまで明記している国がある」と中国を俎上(そじょう)に載せ、「日本の民主政治は、党の論理を国家に浸透させている一党支配体制とは違う」と指摘した。
これは民主集中制を採る共産党は民主政治に相応(ふさわ)しくない政党という意味だろう。村上氏がそこまで踏み込めば、コラムはもっと光った。朝日には酷な注文か。
これに対して共産党は翌17日付「しんぶん赤旗」で「『朝日』コラムにあらわれた“反共主義という呪縛”」と反論したが、従来の「結社の自由」による除名正当化の繰り返しで、民主社会下の政党の在り方には何ら言及がない。本質を突かれると「反共主義」のレッテル貼りで逃げる共産党の悪弊である。