
「賃上げ倒産」増加か
昨年2月下旬に起きたロシアによるウクライナへの武力侵攻は、日本経済の動向を大きく変えようとしている。何よりも原油や穀物などの原材料費の高騰によって物価が上昇。さらに欧米各国の利上げによって生じた円安が追い打ちを掛け、インフレが止まらない状況になっている。
2月7日、信用調査機関の帝国データバンクが発表した今年1月の倒産情報によれば、同月の倒産件数は546件で9カ月連続の前年同月比増となった。これはリーマンショック以降、最長を記録しているという。さらに、その内訳を見ると、中小零細企業の倒産が増加。人手不足による倒産やコロナ融資後の倒産も多く、同社では今後、「賃上げ倒産」も増加すると予測する。
そうした中で週刊エコノミストは「賃上げサバイバル」(2月7日号)と題し、「賃上げ」に焦点を当てて特集を組んだ。この中で同誌は、賃上げを今年の日本経済の最大の争点と位置付ける。「デフレ経済への突入以降、絶えて久しかった『物価上昇と連動した値上げ』のサイクルを復活させることで、国内総生産(GDP)の約70%を占める個人消費を刺激。『インフレ圧力を伴った実体経済の拡大』というかつては当たり前だった日本経済の姿を取り戻すのが狙い」とまずは賃上げの建前を挙げる。
その一方で「しかし、こうした賃上げが可能なのは、内部留保が厚く、かつ、高い業界シェアを持ち、コストの上昇分を商品・サービスに転嫁できる大企業が中心との見方は強い。…コスト上昇分を価格転嫁できない中小企業は『蚊帳の外』だ」と指摘する。