日本で「LGBTQ」推進と信者告発

安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の、いわゆる「宗教二世」や「元信者」による教団告発が「ちょっとしたブーム」になっている。
「彼らの告発によると、旧統一教会は『ヤバい宗教』のようですが、世界にはもっと“超ヤバい宗教”があります。そのひとつが、キリスト教カトリックです」
筆者がこんなことを言えば、“炎上”間違いなしだが、実は現役カトリック信者の「告発」の弁だ。麗澤大学准教授のジェイソン・モーガンの論考「中国の“赤い悪魔”と握手 カトリック総本山 バチカンの狂気」(「WiLL」3月号)の冒頭部分にある。
「とはいえ、ヤバいのはカトリックの教えではなく、カトリックの総本山であるバチカン」と断っているが、総本山の影響が世界の教会に及ばないはずはない。聖職者らによる未成年者への性的虐待は世界を震撼(しんかん)させたが、カトリックのヤバさはそれだけではない。論考を読むと、日本の保守派有識者にも信者が多いカトリックが「無神論者や共産主義者と手を結ん」だ結果、相当ヤバくなっているのは間違いないようだ。
モーガンは昨年暮れ、『バチカンの狂気 「赤い権力」と手を結ぶキリスト教』を上梓(じょうし)した。論考はその核心部分をまとめたもの。最初に告発しているのが「中国とのズブズブ」の関係。例えば、バチカンは2018年、中国共産党に司教の任命権を与える暫定合意を結んだ。これは「神の教え」とは無関係の「偽りの司教」をバチカンが容認することだと断罪する。
この結果、何が起きているのか。モーガンが中国と行き来する友人から送ってもらった写真を見ると、中国共産党公認の教会では「イエス様や聖母マリヤの絵を取り除き、かわりに習近平と毛沢東の顔写真が飾ってある」。
「神様の言葉」の代わりに「共産党スローガン」を伝える教会、聖歌隊が「聖歌」でなく「共産党賛歌」を歌う教会もある。敬虔(けいけん)なカトリック信者の目に、こんな教会を容認するバチカンは共産主義に屈して信者を見捨てたと映るのは当然のこと。このほか、バチカンは毎年、北京から約20億ドル(約2500億円)受け取る代わりに、「臓器狩り」に対して「沈黙」を続けているという。
バチカンがなぜ反宗教の中国共産党に忖度(そんたく)するようになったのか。交渉役を務めた、性犯罪歴のある元枢機卿がいわゆる「ハニートラップ」に引っ掛かり、弱みを握られて中国に忖度せざるを得なくなったのではないか。また、バチカンの高位聖職者の多くは「そもそも共産主義にシンパシー」を持っていることも影響したのではないか。モーガンはこう分析している。