露・ウクライナ戦争長期化で混沌の度合いを深める年になると予測

米露が管理する戦争

確かに、極端な景気後退局面に陥ることは考えられないが、物価高は一段と進行し庶民の生活を脅かしているのは事実。その最も大きな要因になっているのがロシアによるウクライナ侵攻である。そこで国民が今年、一番に関心を持って見ているのはロシアのウクライナ侵攻がいつまで続くのか、ということであろう。

これについて東洋経済は、今回のロシア・ウクライナ戦争を「米ロが『管理する』戦争」と位置付け、「(プーチン大統領は)クリミア半島や東部2州を含めた本来のウクライナ領土を完全に奪還するまで戦うという姿勢を続けそうだ。一方、米国も交渉の時期や方法はウクライナが決め、ウクライナが優位になるように軍事支援を続けるとした基本姿勢を崩していない。…そして両国指導者の意志が変わらない以上、戦争は続く。…核兵器使用というワーストシナリオが現実にならないよう願うばかりだ」と綴(つづ)る。

一方、エコノミストは「少なくとも向こう一年くらいは、この戦争は続くことを想定していかざるをえない」と予測。また、ダイヤモンドは「プーチン大統領は戦意の喪失を狙ってウクライナのエネルギーインフラを破壊している。また、支援疲れを引き出すためにエネルギーを武器に欧州諸国を揺さぶりながら、戦争の長期化に勝機を見出そうとしている」(兵頭慎治・防衛研究所政策研究部長)と戦争が長引くことを予測し、さらに「日本は露中朝による3カ国の軍事連携が強まるという、将来的な『複合事態』も視野に入れておくべきであろう」(同)と戦争の長期化を指摘する。

目が離せぬ案件多数

物価高は企業の賃上げを進めることで当面解消されると思われるが、わが国を取り巻く国際環境を見れば台湾侵攻を狙う中国、ミサイル開発に余念のない北朝鮮があり、さらに原油・穀物価格の動向など目が離せない案件が幾つも存在する。乱世ともいえる状況だが、こういう時代だからこそ冷静な目で物事を見詰める必要がある。

(湯朝 肇)

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