宗教への無理解露呈
子供を守るため、虐待する保護者から引き離すだけが児相の仕事ではない。子供が健やかに成長できるように家庭を支援するのも大切な役割。そこでは保護者と支援する職員との信頼関係がカギとなる。これが成立しないと、家庭への介入はうまくいかない。だから、まずは介入する側に宗教に対する知識と寛容な精神がなければ、両者の信頼関係は構築できないという課題も浮き彫りとなる。
今、“宗教2世虐待”に向き合うとき、日本人の多くが子供の頃から、人間存在の根源に関わる宗教について考える生活環境で育たなかったという戦後の社会状況が大きな壁となって立ちはだかる。高学歴の役人がいくらQ&Aをこしらえても、そこに起因する“宗教音痴”を露呈させるだけなのである。(敬称略)
(森田清策)