ワイドショーでさえあまたの課題指摘する“宗教2世虐待”Q&A

運用に疑問を呈する

なのに、親が悪さをした子供に「地獄に落ちるぞ」などと戒めているのを聞いた第三者が「恐怖の刷り込みだ」と思い、児相に通報しても果たして児相は対応できるのか。職員が「Q&Aの事例にある」と説明しても、宗教教育の重要さを体験的に知っている保護者は納得するはずがない。事例は「サタン」と称して「強い恐怖心」を与えることも心理的虐待だとしている。

では、逆に児童福祉司が保護者から「地獄やサタンとは何か」「弱い恐怖心ならいいのか」と、説明を求められたら何と答えるのか。政教分離の観点から、行政は宗教の教義に介入することはできないから、せいぜい「厚労省に聞いてみる」と言ってお茶を濁すのが関の山。「これでは仕事ができない」と、辞めたくなる現場担当者も出てこよう。

だから、番組コメンテーターの柳澤秀夫(元NHK解説委員)は「これまでも児相や警察は介入しにくかった。そこに宗教が絡むとますます介入しづらくなる」と、ガイドラインの運用に疑問を呈した。その上「児童福祉司・心理司に『私、なりたい』と積極的に手を挙げる人はたくさんいるのか」と述べた。

中野信子(脳科学者)も「小さい子供が訴えた場合、誰が面倒を見るのか。家庭が変わらない限りは、むしろ訴えたことでかえってつらい思いをしてしまう。受け入れ先をきちっとしないと、実効性を持てないガイドラインになってしまう」と危惧した。

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