
米中衝突の間に台湾
米中の先端半導体確保を巡る対立が一段と深まっている。この米中衝突のはざまで、台湾は国家経済の死命を懸け先端半導体開発を進めている。ニューズウィーク日本版12月6日号特別リポート「半導体王国・台湾の夢が悪夢になる日」「敗者の日本から学べること」で、台湾の今後あるべき方向を示している。日本の半導体産業の未来にも関係することだ。
最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が世界の半導体受託製造(ファウンドリ)市場に占めるシェアは53・4%。今、TSMCを中心に半導体関連企業がひしめき合い、「絶好調に見える台湾半導体を待つ過当競争の罠」が待ち受けているという。「今後も世界の半導体市場で競争力を維持し続けるためには、大掛かりな業界編成が必要となる」として、かつて日本が実践した業界再編のケースを挙げている。
「旧通産省は1971年、日本にはコンピューターメーカーが多すぎて、米IBMが前年に発売したメインフレーム『システム/370』に対抗できないと考えた。そこで既存の6社を日立製作所と富士通、NECと東芝、そして三菱電機と沖電気の3チームにまとめることにした」「国内メーカー間の競争を抑えれば、それぞれの市場支配力が高まり、もっと研究開発に投資できるようになると考えたのだ。その背景には、過当競争に対する懸念があった」と。そして「台湾は戦後日本の過当競争の概念に学び、半導体業界を再編してイノベーションを促すべきだ」と結論付ける。