宗教への無知を露呈
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題一色となった臨時国会では、図らずも日本の政治家の宗教についての無知と反宗教性があからさまになった。その象徴は、自民党総裁としての岸田文雄首相の、教団との“決別宣言”(8月末)だった。
この宣言がどんな意味を持つのか。首相はそれを突き詰めて考えていなかった。それは教団との“接点”があった山際大志郎経済再生担当相(当時)の辞任をはじめとした混乱を見れば明らかだ。そして今、党のガバナンスコード(統治原則)改定で、「一切関係を持たない」方針を国会議員だけでなく、都道府県連にも「徹底する」としたことがどんな事態を招いているのか。
それを暴露したのがBSフジ「プライムニュース」(12日放送)に出演した政治ジャーナリスト田﨑史郎氏。「僕、先日ね、ある県会議員と話して(知った)、その県で起こっていることは……」と口を開き、次の事例を紹介した。
ある自民党県連幹部に、一人の県議から相談があった。「旧統一教会の結婚式で結婚した。奥様(妻)は旧統一教会員だ」と。相談を受けた幹部は「どっち取るんだ。自民党の県会議員を続けるのか、それとも旧統一教会の会員として活動していくのか。二つに一つしかないぞ」と迫ったという。
これは田﨑氏が当事者本人から直接聞いた話ではないが、全国放送で明らかにしたのだから信憑(しんぴょう)性は高いし、決別宣言で想定されたことだ。そして、キャスターの反町理氏も驚き「えっ、離婚しろということか」と聞いた。田﨑氏が続けた。
「離婚はしない。その県会議員は旧統一教会との関係を断って、今度の県会議員選挙に立つ。それでも相手側陣営から批判されるわけだ。そういうことが所々ある」