子供政策を各党が特集

子供のイメージ(Photo by Marisa Howenstine on Unsplash)

重視するポイントに違い

政府の子供政策の司令塔として来年4月、「こども家庭庁」が発足する。20日には概要が判明しており、430人規模で発足することや、企画立案や総合調整を担う長官官房のほかに「こども成育局」「こども支援局」の2局が設置されることなどが報じられている。これに先立ち、各党機関紙も1面で子供政策に関する特集を展開した。

自民党機関紙「自由民主」(11・15)は「来年4月創設の『こども家庭庁』を強力に後押し」の見出しで、党の「『こども・若者』輝く未来実現会議」(座長・木原稔衆院議員)が10月28日に取りまとめた決議の内容などを伝えた。公明党の日刊機関紙「公明新聞」は13日付で、「子どもの幸せ 最優先社会へ」の見出しで、党次世代育成支援推進本部長の山本香苗参院議員のインタビューを掲載。立憲民主党機関紙「立憲民主」(11・18)は、「チルドレン・ファースト掲げ子ども・若者を応援」と題し、党の「子ども・若者応援本部」(本部長・泉健太代表)の初会合を報告した。

各党の子供政策は、子育て支援・課題を抱えた子供や若者への支援という点では大枠で一致しているものの、具体的な支援策はもちろん、切り口や強調・重視しているとみられるポイントにも違いが見られる。

まず、立憲は記事中で「日本の若者の自己肯定感が国際比較で低いとされる現状」に触れ、これについて泉氏の「(子供たちが)意思の表明、あるいは自己決定というものが本当にできているのだろうかと強い関心を持っている」との言葉を紹介。党として掲げる教育の無償化に加えて、子供自身の自己決定権や意見表明権といった点も重視する姿勢を示している。

自民、公明が共に触れているのが、子供政策を「少子化の克服」につなげたいという意識だ。「自由民主」では、「わが党は、『こども家庭庁』と共に、子供に関わる諸問題、そして『少子化』問題へ一体となって取り組んでいく」と強調。茂木敏充幹事長(「こども・若者」輝く未来創造本部本部長)の「日本がコロナの次に乗り越えなければならない大きな壁・高い壁。これは少子化という壁であることは間違いない」という発言も引用している。

「公明新聞」では、「少子化・人口減少の克服に向けた具体策」として同党が発表した「子育て応援トータルプラン」が解説されており、インタビューを受けた山本氏はプラン策定の背景について「コロナ禍により少子化が想定を上回るスピードで進み、虐待や不登校、自殺の増加など子どもを巡る課題は深刻化しています」と語っている。また同党の特徴としては、「男女間の不平等解消、性別役割分担意識の是正」をプランの方向性の一つとしていることが挙げられる。

身近で頼りやすい制度構築を

厚生労働省が9月に発表した国民生活基礎調査によると、3世代が同居する世帯の割合は全体のわずか4・9%しかない。また近年、核家族世帯の中でも、一人親と未婚の子供からなる父子・母子世帯の割合が増加傾向にある。共働き世帯も年々増加しており、家庭の中で子供のケアをできる人や時間が少なくなっていると考えられる。また、親や子供が何か課題を抱えたときに、同居する家族内だけで解決することが以前より難しくなっていることは想像に難くない。

子供がトラブルに巻き込まれず、健やかに成長できる社会的仕組み・制度が重要性を増していることは言うまでもない。こども家庭庁および各党には、その制度がより身近で頼りやすいものになるよう知恵を絞り、役割を果たしてほしい。

(亀井 玲那)

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