変更促すべきだった
さて、各紙の社説だが、今回の日銀金融政策の一部修正について、列挙した通り、日経と産経は市場との対話を問題視、読売と毎日は一部修正に至った背景を説き、朝日は対応の遅さを、東京は長期金利上昇の暮らしへの影響を中心に論評した。
今回の、一部とはいえ金融政策の変更は、日経などが指摘するように、「唐突な説明の変更には違和感がある」のは確か。これまで金融政策決定会合を開くたびに、総裁は現行政策に変更はないことを繰り返してきたからで、来年の総裁交代まで政策変更はないと見られてもいた。
それが、唐突さから、発表当日20日の円相場は1日で5円超急騰、長期金利は7年半ぶりの水準に上昇し、株価は一時800円超と大幅下落した。市場との対話が重要なのは、こうした政策変更に伴う市場の反応をできるだけマイルドに抑え、過度な、あるいは荒い動きを小さくするためだ。
その意味で、日経などの指摘は尤(もっと)もなのだが、欧米が利上げを積極的に進める一方、日銀が大規模緩和を維持してきたことで内外金利差が拡大。それに伴い、急激な円安が進行して輸入物価を押し上げ、食料品をはじめとする記録的な値上げラッシュを招き、今も続いているから、政策の変更は時間の問題だった。というより、もっと早くに手を打つよう促すべきだった(本紙は5月1日付で「物価対策/日銀は大規模緩和の修正を」、9月13日付で「止まらぬ円安/日銀は金融政策を転換せよ」の社説を掲載)。
それなのに、特に日経は小欄でもたびたび指摘したように、円相場が1㌦=150円台と32年ぶりの水準に至るほどの円安に進行しても、日銀の金融政策にはほとんど言及せず、言及しても円安の利点やその生かし方を説くばかりだった。