経産省の原発運転延長短縮案にエネルギー安保の危機感募らす産経

「上限なし案」消える

ただ、保守系紙でも産経は批判的である。「原発の運転期間の延長幅が短く限定される可能性が高まっている」というのである。

前回の審議で同省が有識者会議に示した延長方式には、40年を基本的な期間とし、運転年数の上限は定めず、一定期間ごとに安全確認を実施する案があり、米英仏もこの方式で産経は「国際標準ともいえる」と評価していたが、今回の案では消えしまった。「経産省案では停止期間が補填されるだけなので4~10年程度の伸び幅に限定され」「これでは日本の今世紀半ばのエネルギー安全保障が危ぶまれる」(産経)というのである。

同紙の批判は尤(もっと)もである。今回、同省が示した限定延長方式では、「時とともに原発は減っていく」からである。

同省は、この難点を廃炉原発の建て替えでカバーするとしているが、更地化には何十年もかかる。以前は発電所内にスペースがあったが、テロ対策施設などに占められて建設余地のない発電所もある。革新軽水炉の開発・建設もたやすくはない。欧州加圧水型炉(EPR)の難航例がある――。同紙が懸念する理由である。

読売も今回の経産省案では「原発が徐々に減っていくことになる」と認め、「今後の安定利用に向けては、新しい原発への建て替えが避けて通れない」とするが、産経ほどの危機感はない。

読売は原発の建て替えについて、同省案が「次世代原発の開発・建設を進める」と明記したことを、「これまでの曖昧な姿勢から脱したことは評価できる」とし、「メーカーと電力会社が協力し、早期に最初の建て替え案件に着手すべきだ」とした。

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