世論つくるメディア
ニュースは時間で区切られ、意図を持った人々によって制作される。それを米政治学者ハロルド・ラスウェル(1902~78年)は「注目の枠組み」と名付けた。この枠組みは人々の関心や興味を集める「焦点化」と、そこから見落とされた「盲点化」を招き、それによって歪(いびつ)な環境認識がもたらされる。
焦点化には「人間の原始的関心(性や暴力、金銭スキャンダルなど)に訴えかけるために事実をわざと歪(ゆが)めたり、あるいはニュースの中心的主題から大きくはずれた部分を誇張し読者の注意を情緒的にひきつけ、さらに煽(あお)る」という手法がしばしば使われる(藤竹暁『マスメディアと現代』)。メディアは「注目の枠組み」で世論をつくり出す。
安倍晋三元首相の銃撃死亡事件に対するメディアの「注目の枠組み」は、テロ暗殺犯に同情し世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を絶対悪として描くところにある。それはメディアが左翼勢力に操られ、共産主義批判(勝共)の思想を持つ教団をよしとしないことにも因(よ)る。教団と敵対する弁護士集団と歩調を合わせ、魔女狩りのように教団叩(たた)きに走っている。それが現下の世論のように思われる。