不思議な日本の風習
消費者庁の対策検討会が集めた「霊感商法(開運商法)被害」の中には旧統一教会以外の「被害」も含まれているが、それをきちっと腑分(ふわ)けした上での数字を明確にせず、あたかもすべてが旧統一教会による被害かのような報じられ方がなされている。長井氏の発言は、他の宗教でも「高額献金」は行われており、批判的に話しているものの「献金」は宗教行為の一つであることを示している。
「宗教とカネ」ということで言えば、「法名・戒名」に数十万円あるいはそれ以上も出すことなども霊感商法ではないのか、との疑問を抱く。もともと信心などなく、死んでからにわかに「仏の弟子」になって法名・戒名をもらいたがる不思議な風習は日本にしかない。いつか週刊誌は取り上げてほしい。
さて、週刊新潮が報じると、翌週には週刊文春(12月1日号)が取り上げた。「統一教会新法を骨抜きにした創価学会のカネと権力」の記事だ。これには長井氏も登場するが、あらたに正木伸城氏を出してきた。「十五年まで創価学会の実質ナンバー2である理事長を務めた正木正明氏の長男」である。政治活動や2世・献金問題、タレントなどの有名人の役割を書いているが、いかにも前週の新潮を後追いした感が免れない。
裏に与党攻撃の意図
一方、その新潮は12月1日号で正木氏自身の原稿を載せた。「創価学会の“ロイヤルファミリー”に生まれて」だ。文春はコメントだけだが、新潮は本人による独白である。同氏は池田大作名誉会長を「永遠の師」としているが、創価学会本部を辞めたのは「本部の文化や不文律になじめなかったこと」と、「公明党を心から応援できなくなったことも一因」としている。安保法制をめぐる党の方針に反発してのことだ。
現在、ことさら旧統一教会だけがやり玉に挙がっているが、規制新法は結局のところ、ほぼすべての宗教団体に及ぶことになる。創価学会がターゲットになるのは公明党が与党だからで、旧統一教会批判の裏には与党(自公)攻撃の意図が敷かれている。その背後には宗教とそれを否定する共産主義勢力のせめぎ合いがある。(岩崎 哲)