GDPマイナス、各紙「賃上げを」の大合唱で景気下支えできるのか

都市のイメージ(Photo by Vlad Busuioc on Unsplash)
都市のイメージ(Photo by Vlad Busuioc on Unsplash)

緊急的対策は求めず

16日付産経「家計悪化の加速に警戒を」、東京「消費の低迷は深刻だ」、17日付読売「滞留資金を成長に生かしたい」、日経「経済の逆風はね返す賃上げを」、本紙「物価高対策の厚みが必要だ」――。

2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が実質で0・3%減、年率換算では1・2%減と4四半期ぶりのマイナスとなったことを受けた各紙社説の見出しである(朝日、毎日はこれまでに掲載なし)。

列挙した通り、見出しから危機感が感じられるのが産経と東京である。産経が警戒を強めるのは、今夏は3年ぶりに新型コロナウイルス禍に伴う行動制限がなかったにもかかわらず、「個人消費は力強さを欠き、物価高に伴う消費者心理の冷え込みが景気に及ぼした悪影響を裏付ける形とな」り、来年の世界経済が大きく減速する懸念もあるためである。

では、どうすべきか。産経が説いたのは、「政府が総合経済対策を効果的に実施すべきは当然だ。物価高に対応できるだけの力強い賃上げの実現に向けて、民間企業の経営努力も欠かせない。官民双方が取り組みを強化しなければならない」で、「警戒を」と強調する割には切迫感があまり感じられないのである。

コロナ第8波が本格化して外出自粛などの要請が相次ぐ事態となれば、「わずかながらも増加を維持した個人消費が再びマイナス圏に沈む可能性がある」として、「政府は感染防止と経済活動の両立に全力を挙げなければならない」も当然過ぎる指摘である。

最後は、「コロナ禍からの回復過程にあった景気の減速を一時的なものにするために特に重要なのは、円安の恩恵を受けた企業の行動だ」として、「(増加した)収益を設備投資や賃上げの原資として積極的に活用してもらいたい」というわけで、緊急的な提言ではないのである。

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