北ミサイルの資金源は

中国の習近平国家主席(UPI)
中国の習近平国家主席(UPI)

仮想通貨、麻薬、武器、中国

このところ北朝鮮が連続してミサイルを撃っている。過去になかった頻度と数量は異常なほどだ。米国の自由アジア放送は2日、ランド研究所のブルース・ベネット先任研究員の話として、「25発のミサイルを撃つのに7000万ドル(約9億9500万円)近くかかっている」との推算を明らかにした。これは北朝鮮が「米を輸入する2年分の金額」(太永浩韓国国会議員)に相当する。慢性的な経済難に加え国連制裁やコロナ禍でより一層の困難を経験しているはずの北朝鮮のどこにそんな費用があるのか、誰もが抱く疑問だ。

これに対して太(テ)永浩(ヨンホ)氏が月刊朝鮮(11月号)に語っている。太氏は北朝鮮の外交官をしていて韓国に亡命し、現在は与党の国会議員を務めている。

太氏は北朝鮮の資金ルートは四つあると推定した。まず「ビットコイン」など仮想通貨だ。「ブロックチェーンを通じて用意した」という。4月には韓国軍大尉が「4800万ウォン相当のビットコインを受け取り軍事機密を北朝鮮のハッカーに渡した」流出事件があった。北朝鮮は仮想通貨の使用に長けている。

韓国紙は北朝鮮が今年に入って奪取した仮想通貨が約1兆7000億ウォン(約1790億円)以上に上ると報じた。

次に太氏が挙げるのは「麻薬」である。「世界で唯一国家主導で麻薬を生産・販売するのが北朝鮮だ」と指摘する。「苦難の行軍(1990年代中後半)でも興南(フンナム)地域の麻薬生産工場は止まったことがない」とし「世界に構築した麻薬カルテルを通じて取引して資金を調達している」という。

第3は「不法武器および技術移転」だ。「北朝鮮は今でもイラン、シリアなど中東国家と武器取引をしている。最近ではミサイル技術の取引が多い」と明らかにした。

最後は「中国の支援」。ゼロコロナ政策を取る中国は中朝国境も徹底的に封鎖したが、北朝鮮のエネルギーの核心である原油はパイプラインを通じて北朝鮮に供給されている。このため、どの程度供給されているかの把握は難しいが、ミサイル発射が可能な程度のものが渡っていることは確かだ。

韓国では北の核・ミサイルに対抗して韓国の核武装が論じられ始めた。実現性はごく小さいにしても、制裁等による北の資金枯渇が望めないといって「力対力」の論理が出てくるのはあまりいい傾向ではない。

(岩崎 哲)

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