トップオピニオンメディアウォッチ旧統一教会問題で質問権行使を一転「慎重に」とぶれる宗教学者のレベル

旧統一教会問題で質問権行使を一転「慎重に」とぶれる宗教学者のレベル

日本の岸田首相(UPI)
日本の岸田首相(UPI)

焦り露呈させる首相

内閣支持率低下に苦慮する岸田文雄首相が焦りを露呈させている。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題への対応で、宗教法人法の解散命令請求の要件に「民法の不法行為は入らない」(先月18日)と説明したかと思えば、翌日には「入り得る」と法解釈変更を行った。しかも「年内のできるだけ早いうち」(永岡桂子文科相)に権限を行使するように手続きを進めるという。

なぜ、「朝令暮改」と野党から批判されるような変更を行ったのか。支持率アップを狙い、早急に解散命令を出すため、そのハードルを下げたとみられても仕方がない。

今月1日放送のBSTBS「報道1930」は「“瀬戸際”の岸田総理 旧統一教会問題でなぜ迷走」と銘打って放送した。首相の迷走もさることながら、筆者が注目したのは質問権の「速やかな行使」を求めていた宗教研究者たちの“ぶれ”だった。

首相が一夜にして解釈変更した6日後の先月24日、島薗進(東京大学名誉教授)と櫻井義秀(北海道大学教授)を代表とする「宗教研究者有志」25人が声明文を発表。「報告質問権の速やかな行使に基づいた事態の把握」「宗教法人格の取り消しを視野に入れ、裁判所への解散請求などの行政的措置を速やかに行うこと」を求めた。

ところが、その4日後、代表2人が記者会見。声明文とは逆の発言内容が目立った。「報道1930」によると、「法的な手続きの適格性・慎重さあるいは透明性・公平性、そういったことを十分に考慮しながら進めていただきたい」と、一転、政府に慎重な対応を求めたのだ。

この発言について、番組に出演した櫻井は「声明文自体は同じだが、受け取る方の印象が違うのは事実だと思う」とした上で、「(首相が)国会で1日で民法上の不法行為も該当すると変えた。法的な手続き性、これを慎重にしているのか、不安なところが出てきた。そして、世論もメディアも早く解散という中で、もう少し慎重さが必要じゃないかという意見が、賛同した先生方にもあった」と説明した。ならば、なぜ「速やかに」とした声明文を公表したのか。首相の解釈変更から公表まで5日間もあったのだ。内容を修正し、その不安な部分を書き込めばいいだけの話だ。

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