議員接点追及されず
「異例の審理」については読売も朝日も報じているが、なぜ危害が裁判員に及びかねないのか、肝心の背景についてほとんど記事にしていない。これでは中核派がいかなる思想を持ち、なぜ危険なのか、読者に伝わらない。
その点、産経は「(中核派は)革命的共産主義者同盟全国委員会が正式名称で、昭和32年、過激な武装闘争から転換した日本共産党を離脱した急進的学生らのグループが源流」と記し、「(安倍元首相の)国葬反対デモでは、会場の日本武道館に近づこうとして警察ともみあいになった。現在も非公然組織を有しており」と背景を伝えている。
中核派の支援を受けているとみられるのが、れいわ新選組の山本太郎参院議員である。だが、メディアは教団と自民党議員の接点は追及しても、山本氏と暴力集団・中核派の接点はまったく触れない。ダブルスタンダード(二重基準)も甚だしい。
労組に革マル派浸透
中核派と内ゲバ殺人をやり合ってきたのが極左暴力集団の革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)だ。こちらはJRに根を張っている。今年は旧国鉄の分割民営化35年だが、民営化を国鉄内部から推進した井手正敬氏(元JR西日本会長)は産経のインタビューで「改革は終焉したとは言えない」と労務問題を懸念している(10月2日付)。
それはJR総連(全日本鉄道労働組合総連合会)に「影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透している」(政府見解)からだ。JR総連は昨秋の総選挙で35人、先の参院選で10人を当選させている。いずれも立憲民主党で、彼らが「教団つぶし」に気勢を上げている。それでもメディアはお構いなしだ。
「革命の本家」である日本共産党について警察庁は「暴力革命の方針を堅持する」との見解に立ち、破壊活動防止法に基づく「調査対象団体」にも指定している。これもれっきとした反社だが、メディアは沙汰なしだ。
「革命」なら正真正銘の反社でも許され、「宗教」なら根拠薄弱でも無理くり反社にされてしまう。日本のメディアは真っ赤に染まってきた。
(増 記代司)