教団解散へ思考停止
これは安倍政権時代の再現ではないか。内外に難問が山積し今こそ政治の出番だが、臨時国会で立憲民主党などは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の追及に手ぐすね引いている。この構図は新型コロナウイルスの流行当初、当時の安倍晋三首相に「時間が余ればコロナもやります」と「モリ・カケ・サクラ」ばかりを質問していた姿に似ている―。産経のコラムニスト、鹿間孝一氏は大阪版夕刊(19日付、電子版)でそう嘆じている。
この国会の姿を鹿間氏は「時流とみるや思考停止」と論じた司馬遼太郎氏の次の言葉と重ねている。<日本人がもつ、どうにもならぬ特性のひとつは時流に対する過敏さということであるらしい。それが時流だと感ずるや、なにが正義か、なにが美かなどの思考はすべて停止し、ひとのゆく方角に向かってなりふりかまわずに駆けだしてしまう>(『司馬遼太郎が考えたこと3』新潮社)
今まさに「教団解散」の方向に向かってなりふり構わず駆け出しているようである。鹿間氏は、国会論議は日本が直面する国難と比して多くの質疑時間を費やすべきなのにそれがないとし、「『われわれは相当な奇国に住んでいることだけはたしかである』という司馬さんに同感である」と結んでいる。筆者も同感だ。