トップオピニオンメディアウォッチ「カルト」問題をきっかけに宗教の縮小と深化を問う「こころの時代」

「カルト」問題をきっかけに宗教の縮小と深化を問う「こころの時代」

自分見詰め直す必要

一方、共感できる発言もあった。後編「どう宗教と向かうか」(16日放送)の中で、伝統宗教が信者の高齢化などで劣化・縮小しているという文脈の中で、批評家でカトリック信者の若松英輔が次のような発言を行った。

「(宗教の)拡張が価値の深化とは必ずしも一致しない。宗教は拡張することによって“終わりの始まり”を告げてきた事例はいくらでもある。宗教が一見、縮小していくように見えるが、今、われわれは深化する方向でかじを切れるかどうかが重要なんだと思う」。そして、縮小することによって「自分たちの至らなさ、つたなさ、傲慢(ごうまん)も見えてくる。自分たちが傲慢さを持っていたのではないか。自分たちの価値観が唯一のもので、それに合う人たちに向けてだけ言葉を出してきたのではないか」。

若松が語る「われわれ」とは伝統宗教を指すが、筆者は旧統一教会とその信者にも言えることだと思う。後半の部分は特にそうだ。現在の旧統一教会バッシングに憤慨するだけでなく、自分たちをどう見詰め直すことができるか。教団の真価はその姿勢に表れるのではないか。

(敬称略)

(森田清策)

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