
「落石注意」似の警報
最近実施された米韓合同軍事演習に反発する北朝鮮は、9月下旬から立て続けに弾道ミサイルを発射した。とりわけ5回目となった4日朝の弾道ミサイル発射は、各テレビ局は通常番組を外して報道した。政府がJアラート(全国瞬時警報システム)で、北海道と青森を対象に警戒を呼び掛けたからだ。
結局、弾道ミサイルは青森県を飛び越え、太平洋上に落ちた。警戒対象となった青森県、北海道の住民に「避難」を呼び掛けたものの、後から何かあったときに「アリバイ」として指示を出したようにしか映らなかった。
ちょうど急勾配の崖の下を走る車両に、「落石注意」を呼び掛けている道路標識にも似ていた。走行する車両にとって、注意しようがないのが「落石注意」だ。ミサイルにしても落石にしても、いつどこに落ちるのか具体的な危機が判明しないことには、本当に人が動くことはまずないとみていい。
国連改革問題も同じだと思う。岸田文雄首相は9月下旬の国連総会の一般討論演説で、国連改革を訴えた。
この演説で岸田首相は「ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章の理念と原則を踏みにじる行為だ」と批判した上で「力による支配ではなく、全ての国が法の支配の下にあるのが重要であり、断じてそのようなことを許してはならない」と述べ国連改革に向けた行動呼び掛け、わが国の決意を表明した。