トップオピニオンメディアウォッチ耳新しい「宇宙天気」の話題に「気候変動」との関連ほしかったアエラ

耳新しい「宇宙天気」の話題に「気候変動」との関連ほしかったアエラ

NASAが撮影した太陽の画像(Photo by NASA on Unsplash)
NASAが撮影した太陽の画像(Photo by NASA on Unsplash)

「太陽フレア」の脅威

以前、大きなニュースにもなっていたが、最近あまり見聞きしなくなっていた「太陽フレア」の話題が、AERA9月12日号の「宇宙天気の知識/必須の時代に」のタイトルで出ている。

太陽フレアは太陽の表面の爆発現象で、その発生前後にエネルギーの高い粒子が地球に降り込んで地球の磁場が乱れ、電波障害などを発生させる。こういった、主に太陽活動が源となって地球近傍で起きる宇宙の諸現象は「宇宙天気」と呼ばれているが、その現況把握さらに予測が「宇宙天気予報」で、天気予報の「宇宙版」だ。

記事では、東京都小金井市にある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の「宇宙天気予報センター」が平日に行っている「宇宙天気予報会議」の模様を紹介。「10人近くのスタッフが集まり会議が始まった。『太陽風の速度は450㌔から500㌔の間で推移しています』『密度は高めです』/宇宙空間をダイレクトに感じる言葉が飛び交う会議は、静かな緊張に満ちていた」という。その情報は「航空会社や電力会社などの約8千人の担当者に直接メールで通知している」のだそうだ。

太陽の活動は活発な時期とおとなしい時期があり、およそ11年周期で繰り返しており、次の極大期は3年後の2025年ごろ。アエラの記事はNICTの活動を示しながら、高度な衛星利用の普及が進む現代社会のインフラとそのシステムの安全性の確保について、注意を促している。

その上で、折りに触れ「宇宙天気」の発信に努めてきたNHK「ニュースウォッチ9」で気象キャスターの斉田季実治さん(46)を紹介。平素の活動ぶりがNICTの目に留まり、斉田さんは同主催の「宇宙天気ユーザー協議会」のアウトリーチ分科会長に就任した。総務省の有識者会議は検定制度に基づく「宇宙天気予報士」の輩出を提言しており、斉田さんも24年をめどに宇宙天気予報士の資格検定制度の確立に挑んでいる。記事は「宇宙業界と天気業界のつなぎ役とも言える斉田さんの活躍に期待がかかる」と締めている。宇宙天気の情報が重要になる時代が間もなくやってくる、と思わせる。

ただし、記事ではこの宇宙天気と「気候変動」との関係や結び付きについての話はなく、物足りない。気候変動は、気温および気象パターンの長期的な変化をいうが、それが太陽活動の周期運動による場合も少なくない。今、地球の環境にどのような影響を与えつつあるのか、その言及がほしかった。

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