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赤旗 参院選「大逆流」で後退

安保争点で支持されず

共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(8・2)は、1日に開かれた参院選を総括する第6回中央委員会総会を報道し、志位和夫委員長の幹部会報告全文を掲載した。

昨年の衆院選で共産党が得た比例票は約416万票。この票数を起点に「反転攻勢に転ずる選挙」と位置付けて挑んだのが、7月10日投開票の参院選だった。結果は東京選挙区で1議席、比例区から3議席の計4議席で2議席減だった。

同報告では「比例代表選挙で、日本共産党は、『650万票、10%以上、5議席絶対確保』を目標にたたかいましたが、得票は361万8千票、得票率6・82%、改選5議席から3議席への後退という、たいへん残念な結果」になったと敗北を認めた。

選挙で負ける原因はさまざまあろうが、公約や政策が受け入れられなかったとして見直すこともあるべきだろう。だが、戦後の東西冷戦の中で長期政権を築いた保守に対し、野党の中心的位置を占めた社会党や共産党は社会主義、共産主義を目指す理念政党で、あくまで理念・政策を押し通す。旧社会党は淘汰(とうた)されたが、共産党においては党員の運動量で切り抜けようとする。

同報告は敗退の原因について、野党共闘と共産党への攻撃が強まったこと、ロシアの「ウクライナ侵略を契機とした大逆流」が起きたことを主に挙げている。政策の異なる立憲民主党との共闘の矛盾に対する批判、プーチン露大統領が核兵器使用をちらつかせながら踏み切ったウクライナへの侵略で安全保障を重視する野党も現れて支持を伸ばしたことから、確かに共産党にとっては逆流だろう。

が、ロシアの侵略に対して、同党の「『日米同盟の抑止力強化』『敵基地攻撃』『軍事費2倍化』『9条を変えろ』などの大合唱に正面から立ち向かう論陣を張りました」との政策論争が支持されず、安保政策の強化を訴えた他党が支持されたなら、自らの政策が受け入れられなかったと判断すべきだ。もとより自衛隊の違憲解消を取り下げることなく、立民との野党共闘を掲げるため、立民も参院選で敗退したという考え方もできるだろう。

しかし、共産党は「質量ともに強い党をつくる」として運動力で挽回しようとする。ただ党勢は、一昨年1月の党大会から党員が「1万4千人余の後退となって」おり、機関紙読者は「日刊紙で1万2千人弱の後退、日曜版で5万2千人余の後退」となり、「電子版で2千人余の前進」だった。その運動力も弱っているのが実情だ。

(窪田 伸雄)

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