旧経営陣に支払命令
サンデー毎日8月7日号「サンデー時評」欄に作家の高村薫氏が「国と電力会社の無責任 原発事故をめぐる2判決」と題する記事を書いている。一つは4件の集団訴訟の判決で、国の責任は認められなかった裁判。もう一つは東京電力の旧経営陣に賠償を求めた株主代表訴訟の判決で、東京地裁は原告の訴えを認め、旧経営陣4人に合わせて13兆3210億円の支払いを認めた。これに対して高村氏は次のように論評している。
「旧経営陣に13兆円あまりの賠償を命じた地裁判決は、原子力事業の本来あるべき姿を厳しく問い、これまでやり場のなかった東電への国民の怒りを正当に受け止めるものとなった。当たり前の道理が当たり前に通れば、この地震大国で一企業が原発を運転することの無謀がかくも明らかになるのである」
「ひとたび重大事故を起こしたときには経営陣が個々に賠償責任を問われるとなれば、電力会社は被害者への賠償金や廃炉費用を電力料金に無制限に転嫁しておしまいではなくなったということである」。さらに「最高裁が国に免罪符を与えてしまったいま、まともな経営者なら原発から手を退(ひ)かざるをえなくなったということでもある」と。
だが、果たしてそうか。