トップオピニオンメディアウォッチ深刻な教員不足が学校崩壊の連鎖を招くと警鐘を鳴らす東洋経済

深刻な教員不足が学校崩壊の連鎖を招くと警鐘を鳴らす東洋経済

04年の改革で脆弱化

「臨任」は単年契約で教育現場に入る。だから年ごとに学校を変わっていく。そのため難しいクラスを持たされたり、面倒な仕事を押し付けられることが多いという。「同一労働、同一賃金」でもない。「過重労働、低賃金」が実態だという。

なぜ、このような状態になったのか。同誌は2004年の「小泉内閣の『三位一体改革』が、自治体の教育財政基盤を脆弱(ぜいじゃく)化させた」と断じる。教員の給与は国が半分、残りを都道府県が出していた。これを3分の1に減らしたのだ。自治体は正規教員の採用を絞った。一人一人の仕事が増える。ブラック化が進む。志願者が減る。非正規も減ってしまった、という「悪循環」に陥った。

教員不足の理由の2。特別支援学級の増加だ。「発達障害の概念を広く捉えようとする風潮が強まった」ことで、支援学級の在籍数が「2011年度の約15万人から21年度には約32万人」と倍増した。当然、そこに割くべき教員の確保も大きな負担になった。

解決策は「定数改善」

同誌は解決策として「定数改善」だと説く。国が「中長期的な教職員定数改善計画を示し、地方自治体が正規教員を採用していく見通しを持てれば」改善していく可能性が開かれるだろうと指摘した。

「地域社会もともに児童生徒を育てる」という、教育現場に地元の力を呼び込もうとするコミュニティースクール、地域学校協働活動が叫ばれている。教員不足を学校ボランティアで一部補おうという試みだが、同誌が明らかにした実態を見れば、焼け石に水程度にしかならない。地域にできることは限られている。根本的な改善はあくまでも学校の立て直しであり、適正な教員数の確保だ。自治体と学校現場がじっくり読むべき特集である。

(岩崎 哲)

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