トップオピニオンメディアウォッチ深刻な教員不足が学校崩壊の連鎖を招くと警鐘を鳴らす東洋経済

深刻な教員不足が学校崩壊の連鎖を招くと警鐘を鳴らす東洋経済

学校のイメージ(photo AC)
学校のイメージ(photo AC)

非正規教員が大幅減

週刊東洋経済(7月23日号)が32㌻に及ぶ大特集をしている。「教員不足が招く連鎖崩壊、学校が崩れる」だ。

いつから教員はこんなに忙しくなったんだろう。義務教育に関わってみると、学校に“余裕”がないことに気付く。とにかく先生にやることが多く、年間の授業計画はびっしり詰まっていて、新型コロナやインフルエンザで学級閉鎖が続けば、授業計画のやり直しで、てんてこ舞いだ。その忙しさは“過労死”レベルである。「昔の先生にはもっとゆとりがあった」とゆとりのない“ゆとり教育”の現場を見てつくづく思う。

それもこれも「先生が足りない」からだ。それが同誌の結論である。なぜ足りなくなったのか。文部科学省は今年1月に「教師不足に関する実態調査」を公表した。ここでいう教師不足とは、「臨時的任用教員等の講師の確保ができず、実際に学校に配置されている教員の数が教育委員会において学校に配置することとしている教員数(配当数)を満たしておらず欠員が生じた状態」のことを言う。

不足する原因について同誌はこの調査でワースト2位となった熊本県の教育庁学校人事課に聞いた。理由は二つ。「非正規教員の大幅減少」と「特別支援学級の増加」である。

「臨時的任用教員(臨任)」「非正規教員」がキーワードとなる。乱暴だが「パート」「ピンチヒッター」に置き換えると分かりやすい。1クラスの少人数化と将来の少子化を見越して自治体は「正規教員を増やしにくい状況に陥った」。なので正規教員の確保をギリギリの線で止めておく。しかし、産休・育休や病気等による長期休職などが生じると、この穴を非正規教員で埋めるのである。今や非正規は17・82%(文科省調べ)に及ぶという。

以前はこの非正規が十分にいたのだが、今は足りていない。非正規とは教員採用試験に受からなかった人たちで、学校で先生の欠員が出ると臨時的に採用される。しかし、休んでいた人が復帰して来ればお払い箱だ。教委にとっては“都合のいい”人材だが、今はこの人員自体が少なくなっているという。理由は教員志願者数の減少で、教育系学部を出て教員になる割合が減っているから。「ブラック」と言われる職場に行こうとは思わないだろう。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »