
「安倍元総理の遺志受け継ぐ」
選挙期間中に安倍晋三元首相が、背後からの発砲による凶弾で亡くなる衝撃の参院選が終わった。自民党の機関紙「自由民主」(7・19、26合併号)は、1面に「わが党単独で改選過半数/岩手で30年ぶり勝利」の記事、および「安倍晋三元総理・総裁が逝去」の記事が並んだ。
参院選の勝敗を左右する1人区だが、同紙は「全国に32ある1人区では、28勝4敗と、6年前(21勝11敗)および3年前(22勝10敗)に比べて多くの選挙区で議席を獲得した。6年前に敗れた福島、山梨、三重、3年前に敗れた秋田、滋賀、愛媛で勝利するとともに、野党が議席を独占していた岩手、宮城、新潟、大分の4県で議席奪還を果たした。中でも岩手でわが党公認候補が当選するのは1992年以来、実に30年ぶりのことだ」と評価。参院岩手選挙区で自民党は、92年に椎名素夫氏を当選させた後9連敗し、10回目の挑戦で雪辱を果たしたことになる。
立憲民主党と共産党など野党の候補者一本化調整が前々回(2016年)、前回(19年)ほど進まなかったこともあるが、野党共闘の崩れ方は1人区で競り負けただけでなく、全国的に集票が減少したことが大きい。比例区票は今回、立民677万、共産361万、前回は立民791万、共産448万、前々回は共産601万、立民と国民民主党の前身だった民進党1175万だった。固定票の目減りは信任喪失でもある。
同紙は「立憲・共産を中心として政権批判に終始する場面も目立った。そうした姿勢に有権者の支持や共感は広がらず、立憲・共産は改選前の議席を大きく割り込んだ」と評した。
一方、同紙は最終面に「覚悟を新たに一致結束/岸田総裁記者会見冒頭発言要旨」を載せた。「参院選の総括」として岸田氏は「大変厳しい選挙戦」と捉え、目標を上回る「頂いた議席の数が示すのは自公政権、岸田内閣への信任だけではない。遊説中に卑劣な暴力により亡くなった安倍晋三元総理のこの国への思いや、自分たちが感じている危機感を正面から受け止め『日本を守り、未来を切り拓く』ために『全力で仕事を進めよ』との、国民の皆さんから『叱咤激励』を頂いたと、覚悟を新たにしている」と述べている。
同紙は、臨時役員会で安倍氏の遺志を受け継ぎ、憲法改正、拉致問題などの諸課題に結束して取り組むことを確認したと報告した。