トップオピニオンメディアウォッチ東電株主訴訟13兆円賠償命令に「名判決」と激賞する左派紙の異常ぶり

東電株主訴訟13兆円賠償命令に「名判決」と激賞する左派紙の異常ぶり

最高裁の判決と齟齬

東京電力福島第1原発事故をめぐる株主代表訴訟で、東京地裁は当時の経営陣4人に対し総額13兆円を超える巨額の賠償を命じた。

この判決に対し、新聞各紙は社説で論評を掲載。保守系紙と左派系紙で論調が大きく分かれた。

まず各紙の見出しは次の通り。14日付産経「またもや司法の大迷走だ」、日経「原発事故の巨額賠償が問う経営責任」、15日付読売「現実離れした賠償額に驚く」、朝日「断罪された無責任経営」、毎日「安全意識欠如を糾弾した」、東京「甘い津波対策への叱責」――。

原発が絡むだけに、論評が分かれたことは予想通りだが、左派系紙の激賞ぶりの異常さが目立った。

例えば、東京は今回の東京地裁判決を、「後世に残る名判決」との声が上がるほど適切な判断だったと大いに評価する、と褒めたたえた。

原発事故は取り返しのつかない甚大な被害をもたらす。そうした当然の前提を踏まえ、原発事業を担う経営陣の重い責任を際立たせる判決だった――というわけで、見出しの通り、「予測された津波への対策を放置し、十分な安全対策を取ることなく原発稼働を続けたことへの叱責(しっせき)だ」とした。

朝日も同様、いや、それ以上である。同紙は、防潮堤の効能に絞って事故を避けられたか否かを検討し回避不能だったとした最高裁に対し、地裁は他の電力会社や東電自身が一部で実施していた浸水対策を精査し、主要施設の水密化措置を取っていれば防げた可能性があると述べたことを、「事実を踏まえた説得力のある指摘だ。最高裁の判断は早晩見直されなければならない」とまで激賞したのである。

これに対し、保守系紙の産経は「最高裁の判決の大意と齟齬(そご)を来さないか」と疑問を投げ掛ける。

福島第1原発事故で避難した住民らが起こした集団訴訟で、最高裁は実際の地震は想定を大きく上回るもので、東電に津波対策を取らせていても津波による浸水は防げなかったとして、国の賠償責任を否定する判決が、6月に出されたばかりだからである。

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