要人警護、「国家権力の手先」と見なして罵倒し「警察を萎縮させる朝日」

警職法改正に猛反対

だいだい朝日の警察批判は今に始まった話ではない。左派紙はおしなべてマルクス主義の警察観に立って「国家権力の手先」と見なし、警察強化策を言おうものなら戦前の「特高警察」の復活だと断じ、反対論を張った。

日本共産党などは自衛隊と同様、警察も排除すべき「権力」と位置付け、1950年代の武装闘争では警察官が少なからず命を落とした。そのことは「戦後主要左翼事件『回想』」(警察庁警備局発行、68年)に詳しい。

警察の施策をめぐって最初に標的にされたのは、他ならぬ安倍晋三氏の祖父、岸信介氏だった。岸氏は首相在任中の58年、警察官が職務質問や予防的な保護・警告・措置を速やかにできるように警察官職務執行法の改正を目指したところ、左派勢力は「デートもできない警職法」をスローガンに猛反対し、改正案は日の目を見なかった。

安倍政権が2016年に「共謀罪」を織り込んだ組織犯罪処罰法改正案を国会に提出した際、朝日が盛んに言った「居酒屋で会話もできない共謀罪」はその焼き直しだ。共謀罪は世界では当たり前の法律だが、それでもこの言い草だ。警察の「力」をいかにそぎ落とすか、それが左派勢力の狙いだった。

例えば、04年に東京都立川市で過激派グルーブのメンバー3人が自衛隊官舎の敷地内に入ってビラを投函し住居侵入罪で問われた裁判で、東京地裁が無罪判決を下したことがある。この時も朝日は大はしゃぎで、「市民を萎縮させる捜査」(解説)、「異例捜査やっと笑顔」(社会面)、「無罪『歴史的な日』」(東京面)と褒めちぎり、社説では「郵便受けの民主主義」と歓喜した(同17日付)。だが、控訴審は一審判決を退け有罪とした。被告らは上告したが、最高裁で棄却、有罪が確定している。

治安力の強化を批判

こんな事例は幾多もある。警察が治安力を高めようとすると、左派紙はしばしばクレームを付けた。刑法犯の減少に貢献する防犯カメラは「監視社会を招く」と称して異を唱えるのはその典型だ。

朝日は「市民を萎縮させる捜査」というが、実際は真逆の「警察を萎縮させる朝日」だったのだ。だから読売も敢(あ)えて件(くだん)の札幌地裁判決を俎上に載せたのだろう。安倍氏銃撃事件に乗じて日本の治安が貶(おとし)められてはなるまい。

(増 記代司)

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