広範囲に長期的影響
ロシアによるウクライナ侵攻は、欧米、アジアの地政学に大きな影響を及ぼしているが、アフリカ諸国も例外ではない。経済力の弱い国々が多く、大国のはざまで生き残る術(すべ)を模索している。
アフリカ西部ナイジェリアの政治アナリスト、サミュエル・アグベルシ氏は英紙ガーディアンへの寄稿で、ウクライナ侵攻は「アフリカ全体に長い影を落としている」と指摘、欧米、ウクライナ、ロシアとの関係、食料危機、資源開発など広範囲に長期的な影響が及ぶと分析している。
アグベルシ氏は、「グローバル市場がロシアからシフトすることで、一部のアフリカ諸国は恩恵を受けるが、短期的には、国民生活に影響を及ぼす可能性がある」と強調、さらに「汎アフリカ主義の意義や多国間主義が揺らいでいる」と、アフリカ内での連帯、域外国との関係が不安定化する可能性があると指摘している。
恩恵を受けるのは、天然ガスなど天然資源を持つ国々だ。欧州各国は、ロシアの天然ガスに大きく依存してきたが、ウクライナ侵攻を受けて見直しが進められている。アフリカ最西端のセネガルでは、2010年代にガス田が発見され、今年中にも生産開始が見込まれている。
アグベルシ氏によると、ナイジェリアはすでに、欧州に液化天然ガスを輸出しており、さらに、ニジェール、アルジェリアと共に「トランスサハラ・ガス・パイプライン」を通じて、欧州への天然ガス供給を増加させているという。ナイジェリアでは昨年、大規模なガス田が発見され、油田の探査も行われている。ガス埋蔵量は世界のトップ10に入る。