
命名に習氏思い入れ
6月17日、上海・長興島の江南造船所で中国で、3隻目となる新型空母の進水式が行われた。
記者も5年前、上海訪問時に揚子江の小島にある江南造船所まで足を延ばしたことがある。空母の一角でも見たいと思ったが、確認できたのは正門奥の巨大船舶用大型ブロックを荷吊(にづ)りできる門型のゴライアスクレーンだけだった。
今回は上海支局の共同記者が、長興島を通る上海市・黄浦江発の高速フェリーに乗り、新型空母目撃談をリポートしている。
それによると「右舷に置かれた艦橋はアンテナやマストなどと一体化してすっきりとした形状だ」とし、「レーダーで探知されにくいステルス性を高める設計となっている」との日本の軍事専門家のコメントと一緒に報じている。
空母打撃群は空母を中心に早期警戒機が空を警戒し、海中には潜水艦が潜り、駆逐艦、フリゲート艦、巡洋艦、補給船を伴う一大戦闘集団で、「制海」と「対地戦力投射」の二大任務を担う。
今回の空母は習近平国家主席から「福建」と名付けられた。米軍の空母名は、ロナルド・レーガンとか歴代大統領か海軍提督の名称が付くが、中国の場合、空母に限らず海軍主要艦船名には地名が使われる。これは艦船名となった都市や自治体が乗組員らの保養などを引き受ける、艦船と都市の姉妹縁組のような形にすることで国民が海軍になじむ効果と経済的支援を狙っている。
ただ今回命名された「福建」には、今秋開催される共産党大会で3期目の総書記続投を狙う習氏の「台湾統一」に向けた思い入れがあるようで、各紙もこれには言及している。
従来の68歳の定年制を覆し、総書記の任期を撤廃した理由として習氏は「台湾統一は簡単にはできない」と掲げたことからみても明らかなように、「中台統一」は政治的求心力を高める標語ともなっている現実がある。