政権内の争いを描く
参院選の火種とも指摘されていた細田博之衆院議長の「セクハラ」問題はいつの間にか取り上げられなくなった。細田氏が文藝春秋社を訴え、問題を司法の場に移したことで事実上の“封印”が成功した格好だ。
しかし、代わりに出てきたのが吉川赳衆院議員(東海比例ブロック)の“パパ活”。しかも吉川氏は岸田派所属。離党届は出したものの、議員辞職を求める声が地元からも上がっている。週刊文春(6月30日号)が「参院選風雲急!岸田動揺安倍激怒」の記事で取り上げた。
吉川氏のパパ活問題は週刊ポストが第一報を出したが、文春もそれに乗っかった。与党勝利が予測されている選挙になんとかケチを付けようと話題を集めている印象だが、衆院議長のスキャンダルほどのインパクトはない。
継続して取り上げているのが岸田文雄首相と安倍晋三元首相の確執で、影響力を残そうとする安倍氏と、それを排除していこうとする岸田首相という構図で政権内の権力争いを描き出している。
前々号では防衛費「2%」問題で先走る安倍氏に岸田氏が手を焼く、というのを報じたが、今号は「防衛次官の退任人事」に安倍氏が「激しく反応した」という話だ。これを安倍派は「『安倍派パージ』を企図している」と反発し、官邸関係者は「この機に本格的に安倍氏の影響を削ごうとしている」と分析する。
権力中枢での争い事は、はたから見ている分には面白いが、庶民にとっては所詮(しょせん)、遠い話である。むしろ身近に迫る円安、物価高、低賃金の方が大問題で、これに各党がどう取り組んでいるのか、を知りたいところだ。