
選挙連敗の共に民主党
選挙が終われば、勝っても負けても、結果に対する分析は必要だ。冷静な総括をすれば再起にも結び付くが、責任転嫁に終始すれば分裂を招く。韓国では3月の大統領選と6月の統一地方選・国会議員補選で連敗を喫した共に民主党内で紛争が起こっている。
党再建へ向けた非常対策委員会の共同委員長の発言をめぐって、世代論争の様相を呈しているのだ。月刊朝鮮(6月号)の記事から見て行く。
問題の発言を行ったのは委員長の一人、朴(パク)志玹(ジヒョン)氏。同氏は学生の時に「n番部屋事件」と言われるデジタル性搾取事件を暴くなど、セクハラ問題に取り組む政治経験の全くない20代の女性で、異例の抜擢(ばってき)だった。
その彼女が地方選を前に、「86世代は勇退せよ」と発言したものだから、党内はもとより、民主党の岩盤支持層でも大騒ぎになった。「1日1万通の“文字爆弾”(抗議メール)を受けた」という。
民主党は1980年代の「民主化」を担った世代が中核を成している。この世代を「86世代」といい、80年代に学生時代を過ごした60年代生まれを指す。軍事政権に反対し、大学学生会(自治会)などを中心に民主化運動を繰り広げた。中でも活動家たちを「運動圏」といい、共産主義や北朝鮮の主体思想に傾倒した核心活動家は「主体思想派(主思派)」と呼ばれた。文(ムン)在寅(ジェイン)政権を支えた民主党の指導部の多くは逮捕・投獄経験もある筋金入りの元活動家である。
ところが大統領選では彼らの中から後継候補を立てることができなかった。選挙違反や疑惑、セクハラで失脚していき、大統領候補として立ったのは、活動とは遠いところにいた李在明(イジェミョン)京畿道知事だったのだ。
だから地方選を前に朴委員長は、「国民の信頼を回復するために、86政治家の勇退を議論すべきで、同じ選挙区からの4選以上の出馬を禁止しなければならない」と主張した。もう一人の共同委員長・尹(ユン)昊重(ホジュン)議員や朴(パク)洪根(ホングン)院内代表らが皆、該当した。会議では罵声が飛び交い、朴氏は「ならどうして(委員長の席に)座らせたか」と反論したと同誌は書いている。
「結局、民主党は朴志玹を利用しただけで捨てるだろう」という“お払い箱”説が出ているというが、恐れていた通り民主党は地方選で惨敗、この騒動は86世代の方がお払い箱になっていく“終わりの始まり”になるのか、国民の注目が集まっている。
(岩崎 哲)