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極秘資料「新疆公安ファイル」をスクープするも詰めが甘い毎日

ウイグルの人々

極秘資料でウイグル人権侵害の実態が明らかに

中国が2017年ごろ、新疆ウイグル自治区に強制収容所を造り、100万人以上のウイグル人に同化政策を強行してきたとされる問題で、毎日とNHKが5月下旬、目の覚めるようなスクープを飛ばした。

2社は2万人以上の収容者リストや約2900人の顔写真、中国共産党幹部の弾圧指示発言など、流出した収容施設の内部資料をベースに、精査した上で報道した。

公表された「新疆公安ファイル」には17年5月、当時の新疆ウイグル自治区トップの陳全国党委員会書記が「拘束者が数歩でも逃げれば射殺しろ」「海外からの帰国者は片っ端から拘束せよ」と発言したとの記録も含まれている。

「新疆公安ファイル」は新疆現地公安局のパソコンをハッキングした内容が、米国の非営利団体・共産主義犠牲者記念財団のエイドリアン・ゼンツ氏に提供され、日本の毎日新聞とNHKを含む世界14のメディアが事実関係を精査の上、同時公表したものだ。

他紙の中には、中国側が敢(あ)えて偽情報を垂れ流し、報道機関の面子(メンツ)を潰(つぶ)し、信用失墜を狙ったとの疑惑を掲げるところもあるが、この問題を5年以上追ってきた筆者にしてみれば、信頼度は高いと確信する。

少なくとも「世紀のデマであり都市伝説」でしかないと強弁するばかりか、最後には「内政干渉するな」と開き直るだけの中国共産党政権の煙幕を、「新疆公安ファイル」が吹き飛ばした感がする。

むごたらしい実態が赤裸々な「新疆公安ファイル」では、手錠や足かせ、覆面を着けられた収容者の写真や、棒を持った警官たちに囲まれたり、注射を打たれたりしている収容者の写真も含まれる。外国に逃れた元収容者たちの証言を裏付けるものばかりだ。

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