女性を守る対策なし
7月の参院選で与党が勝てば、向こう3年間(次の衆院任期満了まで)は国政選挙がないだろうと言われている。野党の体たらくもあり、安泰ムードが漂っているが、唯一、不安材料があるとすれば、細田博之衆議院議長の「セクハラ」問題だ。
週刊文春が5月26日号で報じ、翌週の6月2日号でも二の矢を放った。同誌が直接間接に取材した「女性記者」たちは細田氏から「うちに来ないか」とか「二人きりで会いたい」との電話やメールを受けたと証言し、中には録音もしてあるという。
同誌は「これら(セクハラ行為)は、今から十年以上前の出来事」と書いている。それでは細田氏は昔の話で糾弾されているのか。読み進むとそうではない。2017年秋、米国で「#MeToo」運動が起こり、日本でもセクハラが戒められるようになったが、それでも「細田氏の女性への発言は変わらなかった」というのだ。
政治記者に女性を当てるのは職場での男女平等をマスコミが率先して実践しているから―、という面もあるにはあるが、実情は少し違う。ほぼ“男社会”の国会では女性記者がちやほやされ、取材対象に食い込めて、情報が得られるということもある。もちろん本人の努力や実力で達成したものだが、それが全てではない、という見方も根強い。
男社会に女性を送り込むのにはリスクがある。会社としてリスクコントロールするのは当然の話で、対策をしているはずだ。しかし、これは表向きの話。
女性記者の一人は、社の「上層部としても“貴重な情報源”である細田氏を守りたいから、『あったこと』をなかなか報じられずにいます」と実情を同誌に語っている。これを見ると、マスコミの“下心”と事実上の無対策が見えてくる。つまり、女性が嫌な思いをしてでも、貴重な情報を得ることの方を優先しているということだ。