ロシアのウクライナ軍事侵攻から何も学ばず思考停止状態の左派紙

ブッチャの街を訪れたゼレンスキー大統領=2022年4月4日(UPI)

自分の国は自ら守る

ロシアのウクライナ侵略の「教訓」がどうやら出そろったようだ。

外交評論家の宮家邦彦氏は五つ挙げる(産経7日付「宮家邦彦のWorld Watch」)。①専門家は信用できない(ロシア侵攻の可能性は低いと語っていた)②戦力がないと守れない(普段から戦闘力、特に攻撃力を強化しなければ、自国は守れない)③情報がないと勝てない(米国がロシア情報を「秘密解除」しウクライナが善戦している)④同盟がないと守れない(北大西洋条約機構〈NATO〉加盟国なら侵攻を防げた)⑤戦わないと助けは来ない(侵略を受けても自ら血を流して戦わないような国民を同盟国は本気で守らない)。なるほど言い得ている。

東大名誉教授の北岡伸一氏は八つ挙げる(読売17日付「地球を読む」)。宮家氏とほぼ重複するが、「攻撃されたら反撃すると宣言し、相手に攻撃を思いとどまらせる程度の相当の規模の反撃力を保持すること」が重要とし、さらに①国際法と国連の価値(国連は元来、無力だが、国際法の正当性を付与し、世界の意思表示が可能)②領土的・歴史的な経緯を国際社会に常に啓蒙(けいもう)(台湾が中国の不可欠の一部との歴史的根拠はない。ウイグルも中国の一部になったのは近年にすぎない)―を挙げる。

一方、法哲学者で東大名誉教授の井上達夫氏は「(教訓は)国が侵略された時、その国民が本気で戦おうとしない限り誰も助けてくれないこと、なんですよ。代わりに戦ってもらおうとなんて甘いです」と米軍依存を突き放す(毎日8日付夕刊「特集ワイド」)。

3氏が強調するのは、「自分の国は自分で守らねばならない」というシンプルな教訓で、それには「攻撃力」(宮家氏)、「反撃力」(北岡氏)が不可欠だということだ。井上氏は、かねて「憲法9条削除論」を説き、軍事力保有の法整備を唱えている。

遅過ぎる自民提言案

ドイツの場合、メルケル前首相の軍事顧問を務めたエリッヒ・ファート氏は「多くのドイツ人は(軍事力に)目をつぶり、『世界は良い方向に向かっている』と考えていたが、今は幻想から目が覚めた」と語っている(本紙3日付=時事)。従来、中立国だったフィンランドやスウェーデンはNATO加盟を視野に入れる。

先に公表された2022年版外交青書はウクライナ危機を「歴史の大転機」と位置付ける。それだけにわが国は教訓をどう生かすのか、問われる。自民党安全保障調査会がまとめた新たな提言案は、敵基地攻撃能力の呼称を「反撃能力」に改めて保有を認め、防衛費については国内総生産(GDP)比2%を念頭に5年以内の増額を盛り込んでいる(各紙22日付)。が、これとて遅過ぎる。核抑止力のありようを不問に付していることにも疑問が残る。

侵略国を喜ばす議論

だが、左派紙は「大転機」どころか、「戦後体制」から一歩も踏み出せず、全くの思考停止状態だ。朝日曰(いわ)く、「(自民案は)憲法に基づく専守防衛の原則から逸脱するとともに、軍拡競争により、かえって地域の不安定化を招く恐れがある」。毎日は「憲法9条に基づく専守防衛を逸脱しかねない」、東京はさらにオクターブを上げ「軍事大国化は許されぬ」(いずれも23日付社説)と絶叫する。

いやはや、鰯(いわし)の頭も信心から。憲法9条を唱えていたら軍事侵略されないと信じ込んでいる。これこそ産経に言わせれば「侵略国を喜ばせ、日本国民の安全を軽視する反国民的な議論だ。日本にとって一顧だに値しない」(23日付主張)。まさにその通り。

ロシアも中国も北朝鮮も日本にお構いなしの大軍拡路線だ。抑止力を盤石にせねば、逆に地域の不安定化を招き、ウクライナの二の舞いだ。左派紙はロシアの軍事侵略から何ら学んでいない。

教訓をもう一つ加えておこう。国民の命が失われても憲法9条にしがみ付く不逞(ふてい)の輩(やから)が徘徊(はいかい)していることを白日の下にさらした。「左派紙削除論」を唱えねばならない。

(増 記代司)

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